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2008.01.17

「すべらない話」では文法が崩れても構わない話

話のネタ次第で、「文法のくずし」みたいなものが問題ではなくなる。

前半は「うーん」という感じでしたが、途中から「なるほどー」に変わる記事でした。神戸新聞の記事です。じっくり読んでみてつかあさい。

「体験談文法」は面白い話限定 神戸大・定延教授

 「すべらない話」という人気テレビ番組がある。お笑いタレントが体験談を語り、視聴者の爆笑を誘う番組だ。一方で現実社会ではどうでもいいような体験談を延々と聞かされて辟易(へきえき)することもある。ところが日本語では、面白くない“体験談”は文法的に語りえないのだという。“朗報”のようなその法則を明らかにした、神戸大国際文化学部の定延利之(さだのぶ としゆき)教授(言語学・コミュニケーション論)に聞いた。(武藤邦生)

 まず例文。「北京のまちって、しょっちゅうレストランがあるよね」

 違和感はないかもしれないが、この文はふつうの文法に照らせば、おかしい。

 「『しょっちゅう』『ときどき』『めったに〜ない』などは、デキゴトが起こる頻度を表す言葉なのに、レストランというモノの数を表現している」と定延教授は説明する。

 でもこうした会話は、ごく日常的に交わされている。定延教授自身、「定延なんて名字の人、めったにいないでしょう」などといわれることもあるという。

 日本語文法の盲点ともいえるこの語法こそ、定延教授のいう「体験談の文法」。レストランという「モノ」を、「北京のまちを歩くと、私の目の前にレストランがしょっちゅう現れた」という「デキゴト」(体験)に変換して話す文法だ。

 ただし、この文法はいつでも使えるわけではない。

 例えば最初の例文を少し変えて、「うちの近所って、しょっちゅうレストランがあるよね」とすると、途端にかなり不気味な文章になる。まるで、レストランが現れては消えるような…。

「北京」は○なのに、「うちの近所」は×。その理由は「“ワクワク感”が違うから」と定延教授。「体験談の文法は、面白い話限定。北京の話なら面白そうでワクワクするけれど、近所のことなんかどうでもいい」。つまり、つまらない“体験談”は文法上、語ることが許されないのだ。

 面白くない話には、モノをモノのままで話す文法、すわなちふつうの文法しか使えない。「たくさんレストランがある」のように。ふつうの文法とは「体験談の文法」と対極の「知識伝達の文法」で、「言語学はこれまで知識伝達の研究ばかり力を注いできた」という。

 定延教授は「コミュニケーションは何も知識の伝達だけで成り立っているわけではない。実際、体験談の文法は頻繁に使われているし、人の心が動かされるような場面では、体験を語ることが決定的に重要な役割を担っている」と指摘している。

(12/14 10:13)

「ワクワク感」の違いかぁ。

うん、すごく良いよね! こうなってくると、言語学からのこうした分析には、心理学(とりわけ行動分析学)のパラダイムが適用できる。スキナーの『言語行動』の枠組みで考えてみると、それこそ自分はワクワクしてしまうね。

いやあ、勉強になります。

 

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Posted by 奥田健次 教育学ぶこと |