自閉症生徒を勝手にカットした中学校
とんでもない話だ。私立学校では、ときどきそういう話を聞くことがあるけども。
単純にムカっとする。
2007年12月08日17時11分
東京都練馬区の区立中学校が校内で開かれた合唱コンクールのDVDをつくる際、1年生の学級で自閉症の生徒が映っていない映像を撮り直して販売しようとしていたことがわかった。この生徒の保護者の訴えで中学校は生徒の映像を復活させることにしたという。
同校や関係者によると、合唱コンクールは11月8日に開かれた。各学級が2曲ずつ歌い、その様子を録画していた。
自閉症の男子生徒(12)は最初は音楽に合わせて体を揺らしていたが、1曲目の途中で舞台から退場してしまった。このため学校側は、すべての学級が歌い終わった後、この学級だけ1曲目を撮り直し、DVDにはこの映像を収録しようと計画した。男子生徒の保護者からも購入希望があったため、この保護者用に男子生徒が映っているDVDを1枚だけ特別につくり、他の希望者には映っていないDVDを売ろうとしたという。
これを知った男子生徒の保護者は「みんなに販売されるDVDにも息子の映像を入れてほしい」と訴え、学校側も映像を編集していないDVDを販売することに改めた。保護者は「クラスの一員として参加したのだから、DVDに入れないのはおかしいと思う。何に対する配慮なのか分からない」と話している。
これに対して校長は「退場していく映像を残すことは(自閉症の)生徒に対して酷では、と考えた。保護者の心情をくみ取れなかった」と話している。
校長さんよ。「保護者の心情をくみ取れなかった」などと言うが、そんな言い訳が通用するのかね。
せやけど、校長だけが悪いわけではないやろ。撮り直しと決めた教師ら、映像を差し替えようと決めた教師ら、自閉症児の保護者にだけ編集前のDVDを渡そうと決めた教師ら。これらの過程で、疑問は起こらなかったのかね。
取り直して編集したということは、学校側は「完成形」にこだわったということか。となると、「自閉症の生徒が入ったものは不完全」ということになるよな。そんなもん、身体を揺らしたりその場から離れたりすることがあるのは分かってたでしょ。クラスメイトを外すことのほうが不完全やろ。
今回の問題は象徴的なものであって、根本的にはあちこちの学校でみられることですよ。
特別支援教育においては、保護者との話し合いが重要。最近、保護者との話し合いを避けようとする学校や幼稚園、保育所が多い。確かに、話すと自己主張しかしないトンデモナイ保護者が多くなっているのも事実。トンデモナイ要望について長い時間をかけて話を聞く必要はない。
学校の先生が忙しすぎる状況にあるのも事実。しかし、正直なところ「どういう要望は聞いたほうが良いのか、どういう要望は突っぱねても良いのか」という基本的な弁別が出来ない教師が多い、と自分は見ている。正直な教師なら、率直にそういった質問をして来られる。
人間関係が苦手な教師なら仕方がない(どうやって採用されたんやっていう話)。しかし、不勉強な校長や教師が多いのは困る。少なくとも、今年4月の「特別支援教育の推進について(通知)」を読んでみて欲しい。これ、読んでいない校長がいたのにはビックリした。
他にも「発達障害者支援法」についても、しっかり読んでいただきたい。
しかし、保護者の中にもこれらを読んでいないか、斜め読みしている人が多いということも事実なので、あえて指摘しておこう。
自分は学校の味方でもないし保護者の味方でもない。自閉症児者の味方であり続けたい。だから、今回のような話には単純にムカっとくる。
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