徳島県で事例研、行ってきました。
久しぶりに徳島県に事例研の講師として出張してきました。
徳島県の特別支援学校(養護学校)には、かなり初期の頃に応用行動分析学のプロジェクトに関わらせてもらっていたのでした。
それが、今では県内の特別支援学校のすべてに応用行動分析学のテクノロジーが取り入れられて発展を遂げており、全国でも有数の『行動分析学モデル学校』のある自治体となっています。
今回の徳島出張は4回目。2日間の間に、特別支援学校2校と公立小学校1校を巡回しつつの事例研。馬車馬のようにパッカパッカ働いてきました(苦笑)。
今回の仕事の主催は、徳島ABA研究会。徳島県の教員が自主的に応用行動分析学の研修と、特別支援教育への援用を推進するための、草の根的な研究会なのです。
この徳島ABA研究会という教師による自主研修会が、サマースクールや研究会、事例研究データベース作成など、学校教育現場のニーズに直結する企画を立ち上げては実行しておられるのだから、本当に頭の下がる思いがします。島宗先生が立ち上げられたシステムが発展し、止まることなく動いているんですよね。
とにかく、徳島県の教員は基本的な姿勢がすばらしいと思いますよ。
なんせ、今回の事例研。事前に主催者側が「奥田先生に事例の助言をしてもらいたい学校は手を挙げてください」と声をかけたそうで、そしたらあっという間にスケジュールを超えてしまうほどの希望者がいたようです。
普通ね、教師の多くは(というかほとんどは)部外者に授業を見られることは嫌がるものですよ。それに、事例をある程度まとめなきゃならんし、しかもどんな指摘をされるか分からないでしょ? 実力が無くてプライドだけは高い教師とか、メンドクサーな教師とかは、別に給料が上がるわけでもなし、出世に関係あるでもなし、事例を出そうとは思いませんよ。
しかも、下町のガンコ職人で「怖い、厳しい」と言われている(?)自分が助言者でしょ。(ホントは現場に対しては建設的で優しいんやけどねえ)
それなのに、事例発表の定数オーバーでお断りしなきゃならん学校もあったとのこと。こんな積極的な自治体を自分は他に知りません(それに比べて自分の地元はというとまだまだ全然....)。
事例発表して下さった先生方、事例発表に関わられた先生方、本当にご苦労さまでした。まだ、事例研究データベースのための指導計画を見直ししなければなりませんが、間違いなく発表者の先生方のスキルは向上しますので。がんばって下さい。
そりゃ向上しますよ。講演とかで、自分の面白い話を聞いて「なるほど」っていうのよりも、先生方が「考えて、作って、また考えて、作る」わけですから。こういう『思考のキャッチボール』が、問題解決力を生み出すわけですよ。確実に。
それにしても、大変やったけど充実していたなあ。酷使されたけど(笑)、やっぱり先生方が熱心なんやもん。楽しかったよぉ。学校に行くときも「かかってこいやー!^^」みたいな姿勢でいるんですが、まあかわいいもんでした。やっぱり楽しいよ、巡回は。誰も来ない相談室で時間つぶししなきゃならんスクールカウンセラーとかは、自分にはとても苦痛やからギャラが良くてもお断り。「今、ここ」の子どもへの支援をやってこそ、職人の血が騒ぐってもんだい、べらぼーめぇ。
事例研では最後に過激なことを提言せざるを得ないことになってしまって、いろいろな意味で失礼しました。でも、地域の子どもや家族を、そして学校を良くするためには、どうしても必要な提言なのです。喫緊の課題が見えてしまったわけです(「通級指導教室」の設置・利用促進とか、「専門家チーム」の設置とか)。
今回、事例発表された先生方は真面目で真剣な方ばかりでした。教師一人の力で学級経営をなんとかしようと孤軍奮闘しておられます。でも、学級経営は教師一人が抱えるものではありません。学校全体で支援体制を構築することに、教師がこぞって力を合わせていかなければならないんですよ。『チーム支援』ですよ。教師個人の力量に依存する支援ではなくて、組織や体制による支援が必要なのです。それが特別支援教育なんですからね。システム作りが必要なんです。
これをよく読んで下さい。事例研の最後でお話しした「特別支援教育の推進について(通知)」です。徳島県に限らず、他の地域の読者の親御さんも。
みなさんの地域や学校で、これらのうち取り組みがなされていない項目があれば、その自治体や学校は『違法』なんだと言っていいんですよ。何もやっていない教育委員会はまだまだたくさんありますね。はっきり言って予想通り、ものすごい格差ですよ。
まあしかし、保護者がまずはしっかり勉強していてくれなきゃ、話になりませんよ。熱意もあって実力もあるし工夫もしている教師が、学校の支援体制の低さのために潰されていくケースが少なくないんやからね。
あちこちで過激なことを言って回っているけど、自分は保護者に対して厳しいことを言える数少ない専門家であると自負している(だからマスメディアはいつもボツにしよる)。利用してくれたら良いよ。嫌われ役なら任せといて(ちょっとつらいけどね)。
今はまあ、喉が森進一状態。
今週は1週間で6回のフライト。CAよりも乗ってるやん(苦笑)。
東京→高知、高知→名古屋、名古屋→徳島、徳島→名古屋、名古屋→仙台、仙台→伊丹という流れ。その間、ちゃんと大学で講義もやって委員会の仕事もやってますよ。ホテルでも仕事してるんで、オーバーワーク状態。
今日は最後の学校で倒れそうになりやした。襲われたらきっと抵抗できませんでした。すだちを買って帰ればよかったよ(泣)。
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など。
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