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2007.05.31

学会の最終日@San Diego

長かった学会も最終日を迎えました。最終日ですら午後まであって、滞在先のホテルをチェックアウトした後、荷物をベルに預けて参加。

Dr. Hank Schlingerや、Dr. Janet Twymanの関係しているパネルディスカッションへ。うちの院生が「Web関係のプレゼン」と思い込んでいたが、実際には言語行動(verbal behavior)と複雑な行動(complex behavior)についての理論行動分析。

同行の院生にはサッパリだったようだが、自分には難しい内容であることに間違いないものの、しかし色々な示唆を与えられるものだった。以下、自分用の覚え書き(ハンドアウト資料なし、スライドなしだったので自分ら外国人にはキツかったっす;あ、自分は外国人なんやね)。

Skinnerの言語行動(verbal behavior)と、言語学(linguistics)の違いについて。これらは良く知られた内容。

キーワードは『文(sentence)』。これを形態的に分析するか(つまり文法などの文構造)、機能的に分析するか。

もちろん、行動分析学では機能(function)を重視する。具体的には、「話し手」と「聞き手」の相互作用から、言語行動や相手の行動がそれぞれにどのような制御をもたらすか。こうした相互に影響を与え合う、つまり「どんな刺激に、どんな反応をしているのか?」を知ることが肝心なのである。

ここまでは行動分析学では常識の範囲。

興味深かったのはハンクのプレゼン。

ハンクは自分がミュージシャンであることを例に挙げて、「ベートーベンを聴いたとき、その聴覚(auditory)刺激にどう反応しているか?」「バッハ、ショパン、ブラームスを聴いたときに、どう反応しているか?」「ビーチボーイズやビートルズを聴いたときに、どう反応しているか?」などと問うていた。ハンクの場合、「内的(private)に唄っている」とのこと。

自分もそうだ。聞いたことのない曲でも、音楽を聴いて無反応にはいられない。だから自分の場合、「〜ながら」で音楽を聴くのは苦手。自転車に乗りながらiPodなどありえない。電車に乗りながら本を読みながら音楽を聴いている連中の気が知れない。とても真似できない。音楽を聴くと、必ずどこかのパートを担当するのに集中してしまうからだ。

ここには、きっとエコー反応(echoic)、イントラバーバル(intraverbal)なども絡んでいるんだろう。ここまではまだ分かりやすい話。

しかし、難しいのは視覚(visual)刺激への反応である。具体的には、たとえば「夢」に対してどう反応しているか? これらは分析がより困難である。聴覚刺激へのエコー反応は分かるが、視覚刺激への反応は何なのか? いわゆる「表象(representation)」と呼ばれるものか? これらはまだまだ分かっていないことだ。

確かに、視覚刺激への複雑な反応様式について、キーを押すような反応を制御するような基礎実験のデータは山ほどあるけれども、夢やイメージなどの刺激への反応については何か言えるほどのデータもない。「制御」する術がないからなのか。

聴覚刺激については、ハンクのプレゼンを聞いていて面白い話を思い出した。ある歌手の話によると、「のどを休ませなければならないときは、歌ってはいけないのはもちろん、曲を聞いてもいけない」とのこと。「曲を聞くだけでも、自動的にのどが歌ってしまう」のだとか。ハンクの話を聞いた後、この歌手の話もまんざらではないなと思った。

とても興味深く聞けた。複雑な行動をどう分析するのか、考えるよすが(food for thought)となった。

以上、覚え書き。

 

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Posted by 奥田健次 学ぶこと |