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2006.10.29

高校履修詐欺事件。大衆の論調を斬る!

履修しておくべきものを、していなかっただけの話。高等学校なんてもん、教育現場じゃなかったってことよ。進学先と進学率のことしか考えていなかった。それだけのこと。生徒も保護者も、それに乗っかっていただけ。都合が悪くなったらクレームですか。

「補習出ない」「学校ふざけるな」 履修漏れ、受験生ら
http://www.asahi.com/life/update/1028/007.html
2006年10月28日13時47分

 高校卒業に必要な科目の履修漏れは、本格的な受験シーズンを間近に控えた高校3年生に大きな負担を強いる。補習や授業時間の組み替えで、これから受験科目以外の授業が増えることになった生徒たちからは怒り、戸惑い、不安、あきらめの声があがる。
 宮崎県の県立宮崎大宮では世界史と日本史で履修漏れが発覚した。26日、3年生約350人を体育館に集めて校長が履修漏れについて説明すると、「エーッ」とざわめきが起きた。女子生徒は「私は受験科目が日本史。(未履修の)世界史は正直いらない。とにかく不安だ。土日も補習になれば(受験に)必要な教科の勉強ができない。どうしてちゃんと調べてカリキュラムを組んでくれなかったのか……」と憤る。
 理系で地理歴史の履修漏れがあった石川県の県立金沢桜丘。男子生徒は「最悪。教科書があるのに授業しないでおかしいと思っていた。補習は出席しないかも」。金沢辰巳丘の女子生徒は「教育委員会とか上の人がもっとしっかりしてくれていれば、こんなことにはならなかったのでは」と不満をぶちまけた。
 栃木県立小山の男子生徒は「学校ふざけるな、と言いたい。指導する立場の先生がこんなことするなんて信じられない。前から世界史をやらなくていいのかなとは感じていた。これから世界史なんてはっきり言って面倒」と怒りをあらわにした。
 帰宅後4時間は勉強しているという福岡県の県立田川の男子生徒は「世界史を必修にしていることに問題があるのではないか。進学校には時間がなく、受験に必要ない科目はやるべきではない」と語った。
 国立大を目指している山形県立山形北の女子生徒は「3月まで受験勉強しないといけない。どうやっていまからもう1科目を勉強すればいいのかわからない」と不安を漏らした。
 学校への同情を口にする生徒もいた。秋田県立秋田南の男子生徒は「テストを受けていない世界史の成績表には日本史と同じ点数が記載されていて変だと思っていた。だけど、学校は僕らの受験のためにやってくれたことで仕方がなかったとも思う」と話した。

今頃になって、不安や不満が続出ですか。

生徒らもな、「大人は本当に馬鹿なことばっかりやるもんだ」と気付いたならば、そんな大人の馬鹿にいつまでも不満言ってないで、やってやりゃあいいんだよ。切り替えるしかないやんけ。そうすることで、んーな馬鹿な大人の次元を超えることができるわけ。文句言ってへそ曲げていたら、そりゃ子どものままってこと。

履修不足:350回の補習も 不安渦巻く生徒たち
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20061028k0000m040140000c.html

 受験を控えた高校3年生を巻き込んで、全国に広がった高校の履修単位不足問題。伊吹文明文部科学相は27日、「(単位不足の高校生に)特別な配慮は難しい」と補習授業を厳格に実施することを求めたが、岩手県には50分授業を350回も受けなければならない生徒たちがいる。「そんなに受けられるのか」「受験に影響する」。生徒たちには不安が渦巻く。一方、北九州市の高校では補習授業が始まった。【門田修一、念佛明奈、古川修司】
 同日午前、伊吹文科相は「卒業証書を出すまでの間に学習指導要領に決めた通りの授業は受けていただく。特別な配慮は難しい。みんなが決めたルールを守るところから社会の秩序は成り立っている」と述べた。さらに責任の所在について「所管をしている教育委員会そのものに責任があるんじゃないか」と言及した。
 こうした文科相の発言を受け、各学校は来年3月までに厳格に補習授業を実施する必要に迫られている。
 しかし、盛岡市の私立盛岡中央高では、普通科特進コースの3年生51人の履修不足は10単位に上る。履修が必要なのは世界史B、家庭基礎、情報A、芸術の4科目。50分の補習を計350回受けなければ卒業できない。
 対応策について、3年生は補習やリポートなどで補充する予定だが、生徒の負担を軽減する措置を検討中という。富澤正一校長は「学習指導要領にのっとらなかったことは悪かったと思っている。しかし生徒のためを思って、進路目標を達成させるためにやったことだ」と強調する。未履修科目の授業時間には受験に必要な科目の授業をしていた。少なくとも97年ごろから行っていたという。
(以下、略)

毎日新聞 2006年10月27日 22時38分 (最終更新時間 10月27日 23時27分)

またまた伊吹大臣はエエこと言いますなあ。それにしても、校長はんは「生徒のためを思って」と言うわけね。生徒も「進路目標の達成」、学校も「進路目標の達成」。冒頭で言ったとおり、だから高等学校なんてもんは教育をやってないってこと。もっと過激な事実を書いてやろうか?(今回はやめとくよ)。

自分の話をしとこう。

昨年、今の大学に赴任してきたけども、自分が赴任する前にいろんな事情があって、不開講のコマが結構あった。まじめに履修してきた学生でも、4年間で卒業単位が足りるか際どいということが判明したんよね。そんなタイミングで、自分が赴任してきたわけ。

不開講のコマをチェックしたら、自分の専門領域のものばかりだった。ただでさえ、大学院のも含めて担当講義が多い自分やったんやけどね。教務事務やら教授らから「学生のために、何とか協力してもらいたい」ということだったので、事情を聞いた上で引き受けることにした。引き受ける条件としては、一度学生を全員集めて、事の経緯については大学側から説明してもらって、集中講義でやることは自分の口から説明すると。

こんな状況やったよ。

「発達臨床心理学」 15回 2単位
「教育臨床心理学」 15回 2単位
「障害者福祉」   15回 2単位

大学の1コマは90分。90分を45回ってこと。

最初は、学生も「え〜っ!!」って不満と驚き一杯って感じやったけどね。そりゃ、そうでしょう。学生の立場からすりゃね。

「おれも、そりゃビックリやで。赴任早々になあ。誰かの尻を拭くのは嫌やけど、本来やるべきものなんやから、やるしかないやん! 気の毒やけど、文句言っててもしゃあないやん! やろうぜ!」

こう説得したら、それ以上、文句言う学生はいなかったよ。お盆も正月も返上して、集中講義をやりまくった。もっと大変やったのは、福祉実習とかでどうしても集中講義にも出られない学生がいて、その学生たった数名のために集中講義の代わりにリピート講義として、同じ講義を余分に2科目もやったんよ。これは、自分ばかりに一方的に負担がかかったね。正直、きつかったよ。

学生もよく付いてきてくれた(まあ、自分の講義は学びたい気持ちがあれば面白いけどさ)。学生も甘えなかったし、自分も途中から「他人の尻ぬぐいも悪くねえな」と考えるようになったよ。就職活動や、夏休みに遊びたい気持ちもあったやろうけど、偉いよ、学生らは。

日本の教育は終わってるなと思う、今回の履修不足事件。大人が、生徒や保護者を『お客様』と思っている時点で、終わってるっての。教育における、諸悪の根元ともいえる発想やね。これね、大学でもそんな風潮だらけ。先日、ある国立大学法人の教授の講義を聞いたけど、それを実感した。このことは、また別の機会に書くことにしよう。

安倍首相自身が、大衆に対して軟派なところがあるんやから情けない。伊吹さんみたいに、芯がしっかりしている政治家のほうが少ないのが、ホント情けない。

必修逃れ、文科省は扱いに苦慮…要望相次ぎ
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061028icw6.htm

 全国各地の高校で必修科目が教えられていない問題で、履修漏れの3年生をどう扱うか、文部科学省が揺れている。
 27日にはPTAの団体が配慮を求める要望書を提出したほか、安倍首相も伊吹文部科学相に負担軽減策の策定を指示した。しかし、必修科目を定めた学習指導要領には法的拘束力があり、授業時間短縮には簡単に踏み切れない。“徳政令”を出すのかどうか——。文科省の対応に注目が集まる。
 今回履修漏れが見つかった必修科目は、学習指導要領で必ず履修しなければならないと定められている。50分授業を週2回、年間計70回履修するのが原則で、例えば、「世界史」が未履修の生徒は、これから最低70回の補習が必要になる。
 当初、伊吹文科相は「指導要領に決めた通りの授業は受けていただく。各都道府県に厳正に通知するつもりだ」と語り、同省内でも、「生徒に履修してもらう」という意見が大勢を占めていた。だが、全国高等学校PTA連合会から生徒への配慮を要望されたり、与党から負担軽減策をまとめるよう求められたりする中、風向きが変わってきた
(以下、略)

なんやねん、この記事。自分は、やっぱり伊吹大臣を応援するよ。ポピュリストな晋三クンは、やっぱり駄目か。救済策だとかって言って、レポートとかを授業時間数にするとかやれば、そりゃ詐欺でしょ。生徒に詐欺を教えるの? ははぁん、なるほど。高等学校ってそんなところやったんや(知ってたけどね)。今回は、方便でもなく公然と詐欺を認めるつもりかね。

補講なり集中講義なりやって単位を出すべきだ。「補習、出席しません」と言って欠席する生徒がいれば、単位を出さなければそれでよいだけのこと。生徒にも保護者にも説得しきらんのやったら、教育現場に携わる者として失格やな! 政治家としても失格。国家としても失格。

 

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     など。

Posted by 奥田健次 教育 |