児童相談所の職員に求められること
京都で3歳児が同居の女に殺された事件。虐待の強い疑いがあるにもかかわらず、しかるべき人間が何も出来ず見殺してしまった。
京都・3歳餓死 「おむつ取れずしつけ」同居の女、供述
http://www.asahi.com/national/update/1023/OSK200610230051.html
2006年10月23日15時24分京都府長岡京市の佐々木拓夢ちゃん(3)が父親と同居の女からの虐待で餓死した事件で、拓夢ちゃんが昨年6月に受けた健診時の体重は標準の11キロ台だったことがわかった。死亡時にはこれより約4キロ少ない約7キロで、3歳児平均の半分ほどだった。拓夢ちゃんの3歳の誕生日は今年9月1日で、保護責任者遺棄致死容疑で逮捕された無職西村知子容疑者(39)が同月中旬ごろから食事を与えなくなったと供述していることから、向日町署は誕生日以降に虐待をエスカレートさせたとみている。同署は、同容疑で逮捕した運送業の父佐々木貴正容疑者(28)の同市西の京の自宅を現場検証した。
調べによると、拓夢ちゃんは昨年6月23日、生後1歳8カ月以上の子どもが受ける長岡京市の健診を受けた。体重は11キロ強、身長は78センチで、いずれも標準だった。04年1月の4カ月児健診では体重7.5キロ、身長63センチでこれも標準の範囲内だったという。
調べに対し、西村容疑者は「3歳になったのにおむつが取れないので、9月15日ごろからしつけとして食事を与えなかった」と供述。以降は4〜5日に1度、コーンフレークを食べさせたが、9月21〜28日にはほとんど何も食べさせなかった。
西村容疑者は、拓夢ちゃんの死亡が確認された前日の10月21日夜に「ヨーグルトを与えた」と供述している。一方、佐々木容疑者は「もうやめとけ」「そんなんしたら死ぬぞ」と西村容疑者を注意したことがあったと話しているという。
同署は、長女(6)が3月に保護された際に空腹を訴えて「ごはん、食べてない」と話していたことから、拓夢ちゃんに対しても以前から食事を与えない虐待があったのではないかとみている。
もちろん、こんなものは「しつけ」ではない。3歳の子どもに、4日に1度しか食べさせなかったって? それは、拷問による殺人だろう。
この事件、児童相談所の職員は電話対応しか行っておらず、電話で養育者の話を聞いただけで自宅への訪問は行っていなかったそうだ。いつもの児相の悪いパターン。何年も、何年も前から言ってるんやけども。アンテナの精度が悪いのか、危機感が無いのか(「時間がない、人手がない」とは言わせんぞ)。
6歳の長女の保護歴があるんだったら、ことさら訪問機会を増やすべきなのは当たり前のことではないか。今のところ法的に、児相の職員しか自宅に乗り込めないねんからな。
継父や継母による『連れ子』への虐待のリスクも高いが、『同居の大人』の場合はもっとリスクが高いだろう。どちらかが子連れの男女が付き合い始めるときには、「可愛いねえ」と言ってみるものなのだが、相当な覚悟がなければなかなかうまくいかないもの。大人の都合だけで、すぐに子どもの存在は邪魔になる。子どもっていうのは、破壊的存在なんだから。壊すし、汚す。それが子どもなの。
実の父親だって、結局は我が子を守りきれなかった。都合の良い女に任せていたのだろう。父親も自分の都合だけ。同居の女も都合が悪くなれば子どもを殺す。大人の都合でやることは、「しつけ」なんかではない。
日本人は『血縁』を重視するところがある。「子どもは血のつながった親元で育つべきである、たとえどんな親であっても」という感覚。自分はこの「たとえどんな親であっても」という部分を完全否定する。つい先日の里親についてのエントリーもヒントにして欲しい。自分の考えは、「まともな親業が出来ない親ならば、血がつながらなくても親らしいことをしてくれる親元で育つ方が子どものためになる」ということだ。
子どもを直接見ること。家庭に入り込むこと。親に直接会うこと。一人で判断せず、情報を共有すること。過去の事例から学ぶこと。これらは児童相談所の職員が最低限行うべきタスクリストだ。
もちろん、児相職員がもっと家庭に介入できるようにするために必要な法改正はすみやかに実施しないといかん。何をどうすべきか、自分には具体案がある。ブログには書かない。だって、学会でも提案してきたやん。しかるべき立場の人間が、「有識者でない」自分の意見なんぞ無視しているのか、理解が悪いのかどっちかなんやろな。
現行の法律で自ら身動き出来にくくなってるのに、新しいシステムをとなると取り入れようとしない。悪い意味での『お役人さん』『公務員』ですな。
辛口なことを書いているけど、本当は自分は応援したい気持ちで一杯なんよ。わが国の子どもを守るために、そう思っている。ところが、この10年間を振り返ってみても、自分の所に自主的に勉強に来られた方々は、親、教師、医師、看護師、保育士、心理士、弁護士、マスコミなどだった。児童相談所の職員は、学会で見かけることはあるが、一度たりとも来ないんよね。辛口になるのも仕方ないわな。
子どものことをすべて親に任せるべきではない! 子どもは社会で守るものなのだ。
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