国立菊池病院でのお仕事。
熊本県の国立病院機構菊池病院に来ました。2日に渡って自分の専門である応用行動分析学の基礎について、講義と演習を行うため。いつも敬服するのは、ここに集う医師や看護師、心理士の多くの熱心さだ。何せ、医師までもがこんな暴れん坊の自分の話を聞こうというのだから。
こちらのほうには、もう3年連続でお招きいただいている。精神科医の原井宏明先生は、自分には日本で数えるほどしかいない『治せる精神科医』。権威主義ばっかりで治せない精神科医は吐いて捨てるほどいるが(笑)、原井先生はあらゆる面で他とは違う。
最初の出会いなんぞ、周囲が心配するかのような学会でのバトル。通常ならば、お互いに遺恨を残すようなバトルではあったが、こちらもデータを堂々見せるしセラピーVTRなんかも見せているうちに、いつしか数少ない『分かり合える関係(?)』になったような気もする。
原井先生は、自分が年下だろうと医師でなかろうと、自分の仕事からでも何か学ぼうとされるし、自分は自分で原井先生に会うときは「原井先生をうならせてみようか」なんて思うものだから、やはり奇妙な付き合い方だ。自分の仕事について、たとえ年配のお偉い先生から評価されてもあまり嬉しくない(どころか、腹が立つこともある)。「お前ごときに何が分かっとるねん」という心境だ。同じ話を、原井先生もしていたことを思い出す。
だからこそ、余計に『(自分の仕事の細部まで)分かってくれる人』との会話は楽しいものだ。今日もそれぞれの治療場面を見学し合いました。いやあ、そりゃあもうワクワクしましたよ(ニューヨークで公開したとき以来かな、この感覚は)。細かいところまで分かって下さる先生の前でセラピーやるなんて、セラピスト冥利に尽きるね。そして、見るのもまた勉強になる。原井先生のところで仕事している人は、さぞ勉強になるやろうなあ。
学会とか研究会なんかで、それぞれの持ち事例を披露し合えるような関係は少ない。たいてい、こっちが一方的に自分の事例を紹介するか、他人の事例にコメントするかなので面白くない。原井先生とは、たくさん困難な事例もレアな事例も持っている者同士なので、必然的に会話の興味が尽きない。「まったくそうだね」と原井先生。
『ブラックジャック同盟』とでも呼ぼうか、自分がお付き合いしている医師は数少ないが、実力で世界に通じる人ばかりやからね。その代わり、みなさん強烈すぎるキャラです(もちろん、自分も;笑)。そして、当然ながら忙しすぎて、もっと大きな仕事があるのに時間がないというのも共通の問題だろう。
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