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2006.09.01

行動分析学会の1日目。

オープニングの今田寛先生のご講演から参加してきた。まあ、いつも変わらず気持ち良いほど辛口で、自分は大好き。そういえば、昔ピアスしている女子学生に「親からもらった体に傷を付けるな! イヤリングにしろ!」と叱ったという逸話を聞いたことがある。うーむ、自分はやっぱ似ているのかも(苦笑)。

『わが国の心理学教育を考える』というタイトルで、30分の短い話だった。

関学の若い学生さんにとっては伝説の人、古武弥正先生の「基礎あっての応用じゃ!」というスローガンを紹介され、アメリカの心理学教育の変遷を紹介された。自分流に要約すれば、「簡単には(基礎の無い)臨床心理教育を認めない」という徹底したフィロソフィーが、1960年代までのアメリカにはあった。

ところが、60年代の反体制運動の潮流の中で、少しずつ臨床心理の教育路線が確立されていく。しかし、それでもその過程では徹底した議論があったという。

一方、日本では日本臨床心理士資格認定協会が『臨床心理士』を1988年にスタートさせてしまって一大勢力となったため、日本心理学会が慌てて1990年に『認定心理士』をスタートさせた。そして、大学設置基準が大綱化されたのが1991年だった。『臨床心理士』の後追いという逆転の歴史は、ご自分のことも含めて心理学基礎分野の怠慢だったと、先生は指摘された。つまり、日本の『臨床心理士』は、心理学の基礎分野との徹底した議論もなくスタートしたものなのである。

もう一つ、今田先生の気持ちよいご発言。先生が「産業界の規制緩和の教育界への影響」を指摘され、自由競争と市場原理主義が、心理学を学ぶ学生を「モノ」のようにした。「2000〜2003までの4年間に54の心理学関係学科が認可」され、これらの入学定員は5,000人にも及ぶ。文科省の大学設置の委員として関わっておられた今田先生は、当然ながらそうした「売れれば何でも良い」的な市場原理主義に抵抗されたようで、特に「臨床心理学部」の設置には断固として反対され、その名称では認可させなかった。「基礎なき応用」はいかん、という徹底した姿勢には共感するところ大であるし、市場原理主義によって「思想の欠如」を招くという見方にも大賛成。

シンポジウム『テクノロジーと行動分析』も面白かった。あまり沢山書けないので、「へぇ」と思ったことだけメモ。インストラクショナルデザインの話題提供の中で、「“e-Learning”はもう古くなってて、最近では“Blended Learning”とか“Technology Enhanced Learning”といって、対面授業の改善の方向性に向いている」ということだ。まさに「へぇ」である(良い意味で)。やはり「“Face to Face”が教育の基本でしょう」と考えている自分は、「ほらね、戻るべきところに帰結したよ」と思った。シンポジウム全体としては、打ち合わせが不十分だったのか、質疑の時間も無く、盛り上がらなかったのが残念だった。本来ならば、絶対に盛り上がるはずの企画だったのに、ちょっと『MOTTAINAI』感あり。

公開講演『もっとペンギンを知るための行動分析学』というタイトルで、眞邊一近先生のプレゼンだった。これは、6月のアトランタのときに当ブログで紹介した内容のものであった。

ペンギンを被験体にした行動実験自体が初めてのことなので、「そもそもペンギンは動物行動学的にどういう能力があるのか、どういう制限があるのか」ということから明らかにしなければならない。その作業が、自分のように発達障害臨床をやっている者にとってもヒントだらけであり、共通する作業や現象もいくつか発見することができた。特に「ITI中の反応が無くならないという問題」の分析と対処法は、臨床で通じるよなと思った(一般の読者の皆様にはゴメンナサイ)。んで、「同じケープペンギンという種でも、ペンギン個体それぞれで違うところもある」という話も、「うーん、そうだよなあ、同じだよなあ」と思った次第。

フロアから質問させていただいたが、こうした研究で行動科学のテクノロジーも発展する可能性もあるが、それ以上に今回のタイトル通り「ペンギンという種のことをもっと知る」ことができるだろう。行動分析学に留まらず、関連分野に与える新しい知見も出てきそうで、発展が楽しみ。近い将来、八景島シーパラダイスで、定番のイルカやアザラシばかりでなく、トレーニングを受けた芸達者なペンギンがどんどん見られるのも楽しみ。そのうち、クールミントガムの実写CMなんかも出来るかも。

おっと、昨日のエントリーもプリンスホテルの話につながっちゃった。この八景島シーパラダイスもプリンスホテル系じゃん。奇遇だねえ。

 

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Posted by 奥田健次 学ぶこと |