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2006.06.04

非正社員雇用の問題について

今の景気回復というのは『見た目だけ』。そのからくりは、非正社員雇用である。

雇用増1年で79万人 9割以上が非正社員
≪25〜34歳、氷河期世代で顕著≫
http://www.sankei.co.jp/news/060604/kei026.htm

 景気回復に伴って雇用環境が改善する中で、この1年で増えた雇用者のうち、9割以上が非正社員であることが3日、総務省の調査でわかった。この結果、雇用者全体に占める非正社員の割合は3分の1にまで拡大し、とくに25〜34歳層の増加が顕著になっている。企業は固定費の増加につながる正社員の増員には依然として慎重な姿勢を示している格好であり、厚生労働省では企業に対して中途採用を含め、新卒以外にも若者層の正規雇用を求めていく方針だ。(福島徳)
 総務省が四半期ごとにまとめる労働力調査詳細結果の18年1〜3月期平均によると、就業者のうち、雇用者(役員を除く)は5002万人で、前年同期に比べて79万人増加した。正社員は5四半期ぶりに増加に転じたとはいえ、増加幅は7万人にとどまった。
 一方、パート・アルバイトや派遣社員、契約社員などの非正社員は、72万人増え、この1年で増加した雇用者の9割以上を占めた。完全失業率は3年前の5.5%をピークに改善を続け、今年2月以降は4.1%に低下しているが、非正社員を中心に改善している実態が裏付けられた。とくに25〜34歳の増加が目立ち、前年同期比で30万人も増えた。就職氷河期に高校や大学を卒業し、正社員になれずにパートやアルバイトなど非正社員のまま、高年齢化していることをうかがわせた。
 非正社員の賃金は正社員の6割程度と低く、税金や社会保険料の納付も低水準にとどまる傾向がある。また、雇用形態も不安定で、結婚や出産をためらう傾向が指摘されている。少子高齢化で国の財政が逼迫(ひっぱく)する中で正規雇用の拡大は大きな課題といえる。
 みずほ総研の太田智之シニアエコノミストは「企業が25〜34歳の年齢層で必要としている人材は即戦力だけ。高齢者や再就職を希望する女性とも競合するだけに、これらの層の雇用環境が改善するにはもう一段の景気回復が必要」とみている。
【2006/06/04 東京朝刊から】
(06/04 08:48)

航空会社(整備会社)にしても何にしても、とにかく世の中では非正社員だらけ。当ブログで以前から指摘しているように、これは日本が人の技術(そして生命・心身の健康)を軽視したマニュアル型社会に傾いてしまったことの現れである。

企業からすれば、格安で人を雇えるわけで、非正社員バンザイである。

悲しい因果である。格安で物を売るので、利益が下がる。利益が下がるので、人を格安で雇う。安い賃金で働いている人は、格安で物を買いたがる。こうした循環になって久しい。経済について素人な自分でも、これはおかしいだろうと思ってしまう。

だからといって、法人税率をもっと引き下げろというのは嘘であろう。

法人税について。Wikipediaから。

日本の法人税は、財界・大企業の“自分たちだけは負担を減らしたい”という要求で税率を引き下げ過ぎた結果、国税分の法人税収が二十兆円から十兆円に半減 し、国際比較でみても、企業の税と社会保険料の負担はヨーロッパ諸国の半分から八割と、世界で最も低い水準になっている。 ちなみに、昨今大企業はバブル期を上回る史上最高の収益を上げている。

大企業が「バブル期を上回る史上最高の収益を上げている」のに、どうして正規雇用をしないのか。この浮いたお金はどこへ消えた?

答えは簡単。浮いたお金はすべてお金持ちに流れているのだ。日本国民が惰眠を貪っている間に、そういう仕組みにされてしまったわけ。

心理学をやっている自分として、もっと気になることを書いておこう。それは、『非正規社員に対する、正規採用のちらつかせ』である。気になる人は調べてみてほしい。非正規社員の人が、正規採用になるための条件を。実は、客観的な基準があるように『見せかけ』ているが、本当のところは『人物評価』をやっているのだ。

つまり、上司に気に入られた若い非正規社員だけが正規採用になる。上司に気に入られなかった非正規社員は、ずっとそのまま。

調べてみると、怪しい企業などは客観的な基準以外の条件を掲げているものだ。客観的な条件としては、数字で分かる営業成績だとか、選択式の筆記試験、取得資格、経験年数などである。客観的でないものには、課長の推薦だとか、論述試験、プレゼンテーション、優れた経験、勤務態度などである。

このような『非正規社員に対する、正規採用のちらつかせ』システムは、若者をイエスマンに仕立て上げるし、仲間を売る(裏切り、出し抜き、陰口、悪い噂を流す、etc.)ようなことを平気でやる人間を作るばかりだ。このシステムは、『いじめっ子(権力者)への加担者養成プログラム』でもある。日本の将来のために、こんな馬鹿げたシステムは見直すべきである。

最高学府である大学なども同じである。国公立大学法人、有名私立、地方の私立を問わず、ここ数年で「任期付き採用」教員が激増しているように思う。特に、助手などの立場の弱い研究者への任期付き採用は最悪の状況だ。『3年間の間に審査付き論文1本、学会発表5件以上で、任期無しの正規採用』といったように、明確な基準があれば構わない。だが、『勤務態度により正規採用の可能性があります』などという条件を堂々と掲げる大学は、最低最悪な文化をもった大学だと考えて間違いないだろう。

企業にしても大学にしても、中間層から幹部の世代(40歳代から60歳代)においては20歳代から30歳代で能力の突出した若手を正規採用するのは恐怖なのだろう。中間層から幹部の世代はこうした見方を「憶測に過ぎぬ」などと言って決して認めないだろう。だが、客観的な基準だけを掲げた正規採用条件を提示できないならば、自分のこの見方は憶測ではあるまい。

自分は同世代や20歳代の若手には頑張ってもらいたいと思っている。幹部へのイエスマンではなく、一生懸命、自分の仕事に取り組む若手からの突き上げを待っている。ところが、自分がそう思って最大限の支援をしようとしても、目先の利益に流されてしまいがちな20歳代の若手からの手応えはなく、まだ自分の立場が脅かされるようなことは全然ないのだ(不当に脅かされることはあるかもしれないが)

まったく寂しい話である。

 

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Posted by 奥田健次 いじめ・ハラスメント, 社会, 経済・政治・国際 |