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2006.05.01

LD、ADHDの児童生徒が通級指導の対象に

本年4月から、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)の児童生徒も、通級指導の対象とされた。

昨年12月の中教審「特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)」の提言を踏まえたものだ。

これの「2.LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する指導及び支援の必要性」において、

LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒の状態像は様々であり、周囲の環境によって変化することも多いため、個別的かつ弾力的な指導及び支援が必要となる。このため、各学校における教育課程の実施の形態についても、通常の学級における教員の適切な配慮、ティーム・ティーチングの活用、個別指導や学習内容の習熟の程度に応じた指導の工夫などに加え、必要に応じて、通常の学級を離れた特別の場での指導及び支援を受けられるようにすることが有効である。

上記のようなことが述べられている。

これまで、これまでの『通級による指導(通級学級)』では、障害種別や指導時間数などに制限があって、どちらかというと、「使えそうで使えない」ものであった。

それが、この4月1日から弾力的に利用できるようになったということだ。

ところが、自分の知るところ実態は、まだまだ旧態依然としている。市町村の就学指導で「普通学級は困難なので、特殊学級に」と言って『特殊学級判定』を出しておきながら、学区内の小学校には特殊学級がない。そこで、学区外の特殊学級のある小学校に入学するように指導されるような事例が、自分のクライアントでは今年度3件もあった。学区外の小学校に通わせるためには、地方によっては保護者が片道1時間もかけて送り迎えをしなければならないのだ。だったら、スクールバスを出せ、である。「越境するな」と言っておきながら、教育委員会が越境させようとするのだから。

ひどい地域では、「特殊学級でしっかり個別指導をやりますよ」と保護者に言っておきながら、4月になって入学してみると保護者に何の説明もなく普通学級に入れるような事例もあった。しかも、ティームティーチングのようにアシスタントを付けるわけでもない。「行けるところまで行きましょう」という説明。あまりに無責任だ。「行けるところまで行きましょう」という、よくある言葉を翻訳すると、「駄目になるところまで放っておきましょう」という意味なのだ

これらすべて、要するに「お金」の問題。財政が苦しいのだ。「お宅の子どもに出せる金はねえ!」という意味。

せっかく、文部科学省が作ったこうしたフレキシブルな制度も、都道府県、市町村レベルでは財政面の問題を抱えており、全然機能していない。

正直、教育委員会の姿勢からは相変わらず「保護者が諦めてしまうのを待とう」と思われても仕方ない態度を感じる。

これらの茶色い鍵かっこ部分は、もちろんそんな言い方を役所の人間がするわけない。だが、これらは、役所に働く方で心ある仲間から聞いた『お役所の本音』である。このわが同志が言うには「だからこそ、保護者は諦めずに要望し続けて下さい。保護者が諦めたら本当にそれで終わり」とのこと。

まったくその通りだ。

 

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Posted by 奥田健次 特別支援教育 |