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2006.04.25

JR西日本脱線事故から1年

今、原稿締切で追われているが、これ書かずにはいれないので。JR福知山線脱線事故からちょうど1年。その後のこと。

当ブログでは、この事件の問題を『職場いじめ』にスポットを当てて論じてきた(『JR福知山線脱線事故の原因』)。この1年で、JR西日本で行われていた懲罰的制裁『日勤教育』が、大幅に見直されたという。

以下、4月24日付Sankei Web記事より、一部引用。

(中略)
 一方、JR西日本が乗務員の再教育として実施し、制裁色が強いと批判を浴びた「日勤教育」をめぐり、ミスの対象を明確化するなど制度を改善した昨年七月末以降、実施件数が約四割減少のペースで推移していることが分かった。軽微なミスでも以前は日勤教育を命じられていた可能性が否定できず、日勤教育を判断する現場長の恣意(しい)的な運用が裏付けられた格好といえそうだ。
 JR西によると、制度を改めてから今年三月末まで、再教育は計約二百件実施された。内訳は、オーバーランなど停車駅に関するミスが約七十件、機器の取り扱いに関するものが約四十件、遅刻を含む「その他」が計約九十件だった。
 JR西は「単純な比較はできないが、基準を明確にしたことが日勤教育の件数の減少に影響しているとみられる」と話している。
(引用、ここまで)

ちなみに、asahi.comの記事はこう。

(中略)
 ミスをした運転士に課され、高見運転士も受けていた「日勤教育」は、草むしりや反省文書き、上司の罵声(ばせい)など、懲罰的内容で批判を浴びた。
 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べでは、03、04両年度に計1182件、最長51日間に及んでいたが、同社は昨年7月、運転シミュレーターや実車を使った実技教育に転換。今年3月末現在、実施件数は約200件と減り、最長でも8日間という。
 気象条件などを自由に設定できる新型のシミュレーターを昨年10月に5台導入し、今年度中にさらに55台増やす。
 だが、オーバーランで2月に3日間の教育を受けた40代の運転士は「教育担当の指導監の言葉遣いはソフトだったが、『ミスは運転士の責任』という会社の考え方は変わっていない。時間がたてば元に戻るのでは」と不安を口にする。
(引用、ここまで)

自分は、労組のステレオタイプな物言いは好かないが、いびつな職場環境においては自ずと大きな事件や事故につながる問題が堆積していくのは確かである。JR西日本にしても、日航グループにしても、直接的に乗客や地域住民の生命を預かっているだけに、企業の姿勢の在り方が問われるはずだ。

目先の利潤だけを考えるのであれば、従業員のパート化を推進して人件費削減などすればよい。「信頼」「安心」といった、金額に出来ないプライスレスな価値を企業側がどこまで重視できるか。

このことは、企業にとっても消費者にとっても悩ましいところである。価格破壊によって、格安の公共交通機関を利用できる、格安の輸入肉や野菜を食べられる。新築のマンションに住むことができる。

しかし、企業側は格安でも利益を上げなければならない。従業員を減らして残った従業員の負担が増加する(サービスの質が低下する)、どこぞの病気牛や農薬にまみれた大量生産野菜などによる食害、鉄筋の少ないマンション。価格破壊による、サービス破壊、安全破壊、信頼破壊である

「安けりゃ何でも良い」という消費者には、ちっとも悩ましくないだろう。企業も「売り上げが伸びりゃ何でも良い」という新自由主義ならば、悩ましくもないだろう。

左翼思想の新自由主義。飼い主ブッシュとポチ小泉。どこまで日本社会は破壊し尽くされるのだろうか。

最後に。このJR西の事故についてのテレビメディアについての疑問。なぜもっと生々しい報道をしないのか。事故による遺族が紹介されることはしばしば見かけるが、いまだに動けない重度の後遺症を持つ被害者。足を切断した被害者。自分の地元の事件なので、自分の耳には入ってくる被害状況は、あまりにも生々しいものだ。だが、テレビメディアでは、こうした生き残った被害者の惨状をあまり見せていないように思う。生き残った被害者で取材に応じたくない人には遠慮すべきだが、テレビで訴えたい被害者もいるのではないか。もちろん、亡くなられた被害者やその遺族からも、これがどんなに痛ましい事故だったか伝わってくるものがある。とにかく、テレビメディアにはさらに踏み込んだ報道をしてもらいたいものである。

 

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Posted by 奥田健次 いじめ・ハラスメント, 社会 |