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2006.04.17

大学3年生にではなく、30歳代社会人に頭を下げよ。

ずっと前から分かっていたことなのだが。団塊世代教師が一斉に定年することによる問題。

そもそも、少子化が顕著な社会問題になって『教師余り』だった時代に、それでもあえて団塊世代の一斉退職に備えてコンスタントに教員採用をしておくべきだったのだ。

自分らの頃、公立教員になるなんて競争率が15倍とか20倍だったから、みんな無理って諦めていた。教員養成系大学を出て(もちろん教員免許も取得して)、一般企業に就職するしかないムードだった。自分は最初から教員になるつもりはなかったけれども。

自分ら学生の頃は、

友人「団塊世代が退職したら、また誰でも教師になれる時代が来るよな」

自分「せやな。でも、ええんちゃうの。ゆとり世代の教師がゆとり採用されてゆとり教育をやるんやろうな」

などと揶揄(やゆ)したものだが、とうとうそんな日が来たわけだ。

(以下、引用)

団塊世代引退へ大量補充 「先生」争奪戦激化
2006年04月17日00時44分(asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0417/001.html

 団塊世代の大量退職を目前にして、各地の教育委員会が「先生」の確保に躍起になっている。とりわけ都市部では、現職教員の「引き抜き」から、試験科目の削減まで、なりふり構わぬ争奪戦の様相だ。15日には東京都が大阪に、大阪府が東京に、それぞれ乗り込んで説明会を開いた。

 ●「敵地」で説明会
 「今や教師の平均年齢は45歳を超え、40代以上の先生が7割以上を占めています。ベテランの先生が退職した後の大阪の学校を担うトップランナーとして、みなさんに期待しています」
 15日午後、東京都中野区で開かれた大阪府教委の教員採用試験の説明会。教職員人事課の兵庫将夫参事は、集まった約200人の学生らに秋波を送った。その後の討論会では、採用2年目の若手教師が面接のこなし方などの秘策まで披露した。時をほぼ同じくして東京都教委は、大阪市で「東京都の教師の魅力」を力説していた。
 東京都は03年から大阪で、大阪府は04年から東京での説明会を実施。今年はついに同日開催となった。
 大阪府は東京、名古屋、広島に加えて今年から高松市にも遠征。愛知県も負けじと、東京、大阪での開催に踏み切った。千葉県は東北、北海道の大学まで求人に出向く。都教委では、2年ぶりに仙台市でも説明会を開くほか、大学3年生を対象にした説明会をこの秋、都内や近隣の大学で始める。
 「争奪戦」の背景には、団塊世代の大量退職がある。東京都では08年度をピークに今後10年、毎年2000人以上のベテランが現場から去る。都教委は、「大量退職で競争倍率が低下すると、教員のレベルダウンを招かないか」と心配する。
 小学校では、採用がわずか129人だった96年度は競争率は15.3倍と「狭き門」だった。ところが、大量退職に備えて05年度に1425人を採用した結果、倍率は全国最低の2.5倍に。採用数が多い首都圏や大阪、愛知など大都市部は当然、低くなる。一方、採用数が50人に満たない福井、高知、島根では20倍を超える。
 都の試算では、児童数は10年度まで増え続け、必要な教員数は08年度に小学校だけで1800人。受験者が横ばいだと、競争率は2倍程度が続く。都教委は「2〜3倍では試験に緊張感も出ない。5倍は欲しい」と危機感をあらわにする。

 ●試験楽にし引き抜き
 大学生だけではとても足りず、都教委は、他の自治体などで働く現職教員の「引き抜き」を強化。小学校では今回の試験から論文を免除し、面接試験だけにした。
 年齢の上限も40歳から45歳未満に。教員経験者や社会人に対する特例も広げ、「即戦力」の補充をはかる。50代が3割、30代は2割弱という、いびつな年齢構成を是正する考えだ。
 一方、近隣の反発を買いながらも、04年度に「引き抜き」特別枠を設けた大阪では、「受験生の負担軽減」に踏み切った。小学校の筆記試験の教科を7教科から4教科に減らし、音楽の実技はピアノ演奏をやめ、歌だけにした。
 文部科学省によると、全国の小学校の教員採用試験は、競争率が00年度の12.5倍から下がり続け、05年度は4.5倍。05年度の採用試験では、現職教員や教職経験者に対し、17自治体で一部試験を免除し、33自治体で年齢制限を緩和した。

(引用ここまで)

今の教育委員会というより、当時の教育委員会はじめ教育行政の無策ぶり、問題の先送りぶりのお陰で、こんなザマである。

この期に及んで、という感もあるが。教育委員会が大学生を相手にウェルカムという姿勢もだらしない。力を入れるところを変えてみよ。大学回りよりも企業回りをすべきだ。

自分は、社会人枠の採用を拡大する路線を強化するべきだと考える。今のところ、社会人を特例として採用していこうとする動きはあるようだが、まだまだ不十分だろう。給与面(退職金の問題を含む)など、相当に厚遇するべきだ。

講演などで呼ばれて学校に行くと、まれに一般企業に就職経験のある教師に出会うことがある。やはり30歳代の教員が多い。すぐに「ああ、彼らは教採(教員採用のこと)冬の時代やったんやな」と推察しつつ、話をしてみるとやたら話が噛み合う。でも、彼らは自他共に認める“教育現場の浮いた存在”なのだそうだ。それも十分、想像できる話である。

教育現場で浮いてしまう彼らだが、そんな社会人経験者たる教師はなかなか貴重な存在たりえる。特に、30歳代。実際、現在の教育現場には30歳代が「2割弱」。一方、7割以上を占めているのが40歳代以上の世代。ここに、なりふり構わず22歳大卒を大量採用しようとする相変わらずの無策ぶり。現場は、50歳代と20歳代ばっかりになっちまうぜ(それでまた40年後に同じことが繰り返されるのか)。ぼやき。教育行政って、どうして5年先、10年先、半世紀先のことを考えられんのかねえ。その場しのぎを繰り返すのは、そろそろやめようぜ。

極論してみよう。教育行政は、教員養成系大学卒の学生を簡単に採用しようとするな。たとえば、社会経験歴条件を設けてみる。つまり、「社会経験ゼロ」を「ゼロ免許」とみなす。教育行政も大学側も、学生をどんどん一般企業に送り出すことを支援する。

教員免許制度自体を改革することも一案。大学卒後、社会経験を一定期間積んでからでないと教員免許を取得できないように。大改革すぎて無理だろうか。それならば、やはり待遇で差をつけるしかない。一般企業で5年経験して教員採用された者には、新卒採用教員の同年齢の1.25倍の生涯所得。10年経験者は1.5倍の生涯所得。

数字は適当だが、尻ぬぐいにはこれくらいのアイデアが必要。とにかく、社会経験を積んだ教員は、結構使えますよってこと。

 

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Posted by 奥田健次 経済・政治・国際教育 |