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2006.03.12

ADHDの新薬について

注意欠陥多動性障害(ADHD)をもつ子どもは、普通学級1クラスに1〜2名いるとされる。

現在、新薬の開発(治験)が進められており、その有効性に期待が寄せられている。

たまたま出張先の新聞(神戸新聞)の朝刊(3月12日)で、『注意欠陥多動性障害 米系企業 新薬申請へ 年内にも厚労省に』という大見出しが1面トップで扱われていたのを見つけた。

米系製薬会社のヤンセンファーマが開発したのは『塩酸メチルフェニデート』であり、すでに認可されている『リタリン』と呼ばれる治療薬と同じ成分が使用された治療薬である。ただ、神戸新聞にも書いてあるが、アメリカでは服用者に死者も出ており、FDA(米食品医薬品局)では心臓血管障害のリスクを高めるとの警告表示を行うよう勧告している。

この『塩酸メチルフェニデート』が今年、厚労省に製造販売承認を申請するという。

また、同じく米系の日本イーライリリーも『塩酸アトモキセチン』をADHD治療薬として開発中であり、2年後には日本でも使用できるよう厚労省に承認申請する見通しだという。

ちなみに、『塩酸アトモキセチン』のほうは『リタリン』に含まれる中枢刺激性成分は含まれていない。このことは神戸新聞の記事には説明されていなかった。自分は昨年、イーライリリーに招待され講演をしてきた。どちらかというと、製薬会社に対する厳しい言葉が7割、期待の言葉が3割だったと思う。

自分は医師ではないので薬物の処方は出来ないが、数多くのADHDをもつ子どもを支援する仕事をしている。薬物療法に関していえば、まず選択肢の幅がどれだけ用意されているかだ

薬だけで何もかも解決するものではない。かけ算の九九を暗記できる薬や友だちとうまく遊べるようになる薬など、無いからだ。

大切なことは教育であることは間違いない。ただ、少なくとも教育を受けやすい状態を整えてやるための方法は、可能な限り受け入れていくべきではないかと考えている。

副作用についてネガティブな印象を持つ方は、当然ながら大勢いる。だが、ただの風邪薬でも副作用はあるし、自分が現在服用している鼻炎アレルギーの薬の副作用は激しいものがあるが、それでも服用しない状態のほうが苦しいので飲み続けている。風邪薬は飲むのに、ADHDや発達障害の薬だけ拒否することには、いささか疑問を感じる。

薬を出せばそれでよいと思い込んでいる医師は大嫌いである。同じく、薬を飲ませればよいと考えている学校の教師も大嫌いだ。

繰り返し言うが、大切なことは教育なのである

 

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Posted by 奥田健次 特別支援教育 |