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2006.02.18

いじめの根を絶ち子どもを守るガイド

当ブログでは、積極的に「いじめ」についてカテゴリを作って取り上げている。最近の記事の中で、しばしば近刊予告を行ってきた。

その翻訳書が、いよいよ東京書籍から出版された。

bully 著者のバーバラ・コロローソは、教育と子育てのコンサルティングを長年にわたって実践してきた著述家である。

タイトルは『いじめの根を絶ち子どもを守るガイド 親と教師は暴力のサイクルをいかに断ち切るか』。原著タイトルは“The Bully, the Bullied and the Bystander”であり、直訳すれば『いじめっ子、いじめられっ子、傍観者』となる。

本書の特徴は、いじめについての単なるドキュメントでもなく、社会評論でもなく、あくまで子育てや教育の実践レベルで書かれている点にある。つまり、訳書のタイトルにあるように「暴力のサイクルをいかに断ち切るか」という問題解決方法が提言されている点が新しい

自分は、過去の記事で 『いじめのある現場で解決する策がある』ことを述べてきた。しかしながら、この記事に対する読者の見解はどちらかというと「信じられない」「全体は良くならない」「逃げることが最良の手段」という冷ややかなものが多かった。ニヒリズムだ。同じ記事に書いてあるように、自分は「逃げ場が用意されていること、そこに逃げ込むこと」を否定しているわけではない。だが、「いじめ」の問題において、逃げることはとても最良の策とはいえないのである。

きっとこの「いじめ」の問題に対する冷ややかな反応は、やはりこれまで教育現場が「現場で解決する策」に真正面から対峙してこなかったからだろう。自分も、いじめに遭った経験があるが、教師らは明らかにいじめを知っていながら守ってくれなかった。当時、真正面から向き合ってくれず逃げ方(いじめに遭わない方法)だけを示唆してくれた教師の名前を、今でも覚えている。

自分が専門家になった今も、いじめの問題が発覚したときに真正面から一緒に取り組んでくれる教師は1割にも満たない。みんな逃げたがるのである。したがって、読者の中にも「いじめ」の問題には直視したくない人がいるのも頷ける。だが、これを読んで何も感じないならば、人間として危機的状態である。いや、そうした人間は最初から読もうともしないだろう。

もし「いじめ」の問題について論じるならば、本書をまず読んでいただきたい。本書は「いじめ」解決の基本図書である。いじめやハラスメントに遭ったことのある人だけでなく、いじめなど無いと思っている人、あれはいじめだったのかなと省みることのできる人、いじめられている人を助けてあげられなかった苦い過去を持つ人。きっと、それぞれ胸に迫るものがあるだろう。これから子育てに取り組む保護者にも読んでもらいたい。

自分は子どもの頃、いじめに荷担したこともあったし、いじめられっ子を助けてやることもできなかった苦い思い出もある。社会人になってからは、ハラスメントに遭った同僚を助けたために、自分も職場を追われてしまった経験もある。

幸運なことに、本書の校閲に協力させていただいた。読みながら、自分の心にあった弱さを何度となく感じさせられた。同時に、自分が専門家になって取り組んできた援助方法に間違いはなかったと確信するに至った。本書の内容が理想論のように感じなかったのは、本書が提案している方法と同じような援助方法で、実際に成功してきたからだ。本書は空理空論を並べたものではない

帯のコピーにも協力させていただいた。

 いじめをよく知り、いじめの悲劇を防ぐこと−
  それは、私たち大人の責任

    いじめの輪を思いやりの輪に導く
   これは、そのための実践の書である。

はやしひろ氏のイラストが「こんな子、いるいる」という感じで秀逸である。

ぜひ、繰り返しお読み頂きたい。

 

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     など。

Posted by 奥田健次 いじめ・ハラスメント, 教育 |