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2005.12.24

フリースクールで不登校をごまかすな

政策の失敗をごまかすための暴挙を止めよう。

先進諸国で不登校を放置したままなのは日本だけだ。放置したままでも平気なのは、家庭教育や学校教育における『価値観のゆらぎ』があるからだろう。そして、文部科学省の不登校にかかわる政策の誤りも含め、教員養成系大学の教員や、臨床心理士などを養成する大学教員、そして嘘を垂れ流してきたマスメディアなどの責任は重すぎる。

はっきりいってしまえば、不登校に対する日本の大人の対応は完全に失敗してきた。官僚・政治家や、専門家、教師、親も含めて、大人がだらしなさすぎる

公明党などはスクールカウンセラーを配置してきたことについて誇らしげにしているようだが、これこそ評価のない教育政策の典型である。毎年、何十億円もの税金をつぎこみながら、今日のように不登校(卒業後はニート)の問題は解決させてこなかった。

以下の記事をご覧頂きたい。『不登校新聞"Fonte"』の過去記事を要約したものである。

教育改革への質問で「フリースクールを義務教育として認める」ことについて聞いているが、これに対して賛成(「賛成」と「まあ賛成」の合計)は、保護者 63%、学校評議員63%、一般教員56%、校長・教頭等55%、教育長44%、首長51%と、総じて賛成意見が過半数を占めた(グラフ参照:不登校新聞"Fonte"より)。

freeschool
こうした動向は、ときどき地方新聞などで紹介されることもある。その都度、自分は講演などで反対を表明してきた。

「フリースクールを義務教育とする」とは、どういうことか。つまり、小中学校に行かなくてもフリースクールに気まま(freely)に通えば義務教育違反ではない、ということになる。『フリーな義務』ってか。まったくもって笑止千万。そもそも、義務教育違反をしたとしても罰則がない法律ではある。

では、何のために? それは、学校側からすれば『学校に通ってこない子どもがフリースクールに行ってさえいれば、不登校児として教育委員会に報告する必要がなくなる』という意義がある。学校側からすれば責任を放棄することができるのだ。

また、教育委員会も小中学校に行かない子どもを不登校としてカウントする必要もなくなる。

つまり、小中学校も、教育委員会(地方自治体)、日本国において、不登校の数を大きく減らすことに成功するのだ。実際には、子どもは小中学校に行かないままなのに!

このように、不登校ごとき問題を解決できない大人どもが、定義のすり替えで不登校を減らしていくことは、完全なる責任放棄である。

現在の対応でも、すでに馬鹿丸出しの教育現場。例えば、中学校に1日も出席しなくても、卒業証書がもらえるだろう。どこの国にそんな馬鹿げたことをする大人がいるのか?

もちろん、自宅で引きこもりになるよりフリースクールにでも通ったり、適応指導教室に通ったりすることは良いことだろう。だが、それを出席とみなして1日も行かなかった学校の卒業証書を渡すことが本当の教育といえるのだろうか。こんなものは詐欺だ。だから、学校教育ってものは大半、詐欺なのだ。『姉歯もビックリ』だろう。

自分は、子どもが通い続けたフリースクールの卒業証書、適応指導教室の卒業証書を授与すべきだと言い続けている。

別に、小中学校(高等学校や大学)の卒業証書という紙切れをもらうことに意義があるわけではない。どうしても小中学校には行けなかったけど、自分なりの生き方を見つけてやる、必要に応じてやり直しの機会を与えてやる。これが教育なのである。

1日も学校に行かなかったのに、他の子どもが『卒業したのと同じとみなす』というのは詐欺である。同じでないのに、同じとみなす子どもに詐欺を教えているようなものだ

にもかかわらず、教員や保護者、教育関係者の多くが半数以上、「フリースクールを義務教育と認める(みなす)」ことに賛成しているのである。この国の大人のアホ具合がよく分かるデータだ。

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Posted by 奥田健次 教育 |