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2005.12.28

スキナーの心理学

心理学や関連諸科学を勉強している人にはお薦めの訳書が出た。

監訳者は自分の恩師、佐久間徹先生。

佐久間先生は、暴れん坊な自分がこの業界に入る際に、一から教えて下さった先生である。

先生がおられた大学の学生ではないのに、研究室やクリニック、夜の研究会などにひたすら通い続けた自分を、熱心に教えて下さった。自分は水を得た魚のように、毎晩、英米の文献を翻訳しまくった。その後、佐久間先生の下で切磋琢磨している若手たち(弟弟子になるのか?)が訳出に加わっていて頼もしい限りだ。

今回の翻訳書は、自分も原著を『amazon.com』で購入して読んでいたものだった。読みやすい英文だったように記憶している。内容については、ある程度、行動分析学の入門書を読んでからのほうが理解を深めやすいだろう。

skinnerスキナー(Skinner, B. F., 1904-1990)の行動主義心理学は、古いもののように思われがちではあるが、そうではない。スキナーの言語行動論と、それ以降の行動分析家による研究の積み重ねによって、いわゆる『思考』や『推論』のような複雑な行動も分析可能となり、予測と制御のためのメカニズムも実験的に明らかにされつつある。

何より、応用分野(例えば、発達障害児の言語獲得や、組織行動マネジメントなど)において大きな貢献をしているのである。

巻末にある行動分析関係図書のリストも役に立つと思う。

入門書を読み終えた人には、ぜひ手にして欲しい一冊だ。

Posted by 奥田健次 学ぶこと |