子どもを上手く育てるために
自分はある地域誌に子育て関係の連載を続けている。
テーマは、ペアレンティング(parenting)である。「育児」とか「子育て」という意味の言葉だ。
どちらかというと「育児」は"child care"のイメージが強いが、自分はペアレンティングという言葉が好きだ。"parent"に"〜ing"。ペアレンティングには「親業」「親らしいことをする」という意味が込められているように思うからである。
生物として親になることは簡単である。だが、親らしく生きることは難しい。
こうした思いをベースに、子育てにかかわるすべての人にメッセージを送ってきた。自分のホームページにも、早くから『子育て大学』というコーナーを作って、様々なメッセージを発信してきた。
子育てにかかわる人すべて。これは、もちろん親であり親族、近所などのコミュニティー、そして学校、社会(地方自治体から国)全体である。
一言で言ってしまえば、昨今の大人たちは、(1)自信をなくしてしまっている。または、(2)慢心しきっている。
自信をなくした大人。これは、マスコミ論調や馬鹿学者の嘘に騙されて、子どもを傷つきやすい存在と思い込み、暴れる子どもを受容し続けている。子ど
もが殴ってくれば殴られてやり、子どもがわめけばなだめる。日常、子どもに振り回されている人達である。自分は、こういう大人について「子どもの掌
の上で踊らされる大人」と表現している。
慢心している大人。こういうタイプは、大人ではあるが大人になりきっていない。子どものまま、生物として親にはなったものの、「まあ、なんとかなるか」「いつか分かってくれるだろう」などと言い続けている。今日、こうした大人が多すぎる。
子どもも親も、人間なのでわがままである。だが、親になった以上「親らしく演じきる」のが大事なのだ。教師だってわがままな人間だ。聖人君子ではない。教師は給料をもらっている以上「教師らしく演じきる」のが肝要だ。どうせわがままな人間なんだから、人格で接するのではない。そんなものは、自分は正しいと思い込んでいる人間の偽善だ。とにかく「演じるのだ」。そのための、ペアレンティングなのだ。
多くの親御さんに出会って思うこと。それは、子どもに対するカードが少なすぎることだ。教師やセラピストもそう。使えるワザが少なすぎる。
普通の大人は「叱る」「なだめる」カード程度しか持っていない。叱ってもなだめても駄目なとき、「キレる」というカードが出てくる。自信がない親は、このあと子どもに「謝る」カードを切る。これでは、子どもは荒れるに決まっている(こちらの記事「殴る小学生と殴られる大人」も参照)。
子どもに「褒める」のカードを使ってみてほしい。これはかなり有効である。ただ、このくらいのことは、目の中に星がキラキラな教師でも言いそうなことだ。自分に言わせれば、「褒める」カードなんて使えて当たり前。
自分は、子どもに接する大人が持つカードの種類は、多ければ多いほど良いと考えている。国と国が交わる際にも、色々な外交カードが質量ともに優るほうが有利という事実もあるように。
具体的には、子どもに対して有効なカードは「褒める(賞賛、握手、抱きしめ等々)」「叱る」「なだめる」。ここまでは初級者。
中級者以上になると、「すかす」「無視する」「驚かす」「チラつかす」「ちょっと脅す」「プレゼントする」「取り上げる」「手伝う」「邪魔する」「追い出す」
「軟禁する」「煽る」「プチ罪悪感を感じさせる」「笑わせる」「ケムに巻く」などなどが使いこなせる。さらに上級者向けもまだまだあるが、やや過激なのでここには書か
ない。
上記のカードのいくつかをみると、きっと教育学者の一部などは「とんでもない」などと言うだろう。だが、そんな反論は実践知らずのクソ意見に過ぎない。クソは肥料に使えるから、そんな反論、クソ以下だ。
また、自信のない保護者は「そんなことをしたら、子どもに嫌われるのでは」とか、「子どもがストレスを抱え込むことにならないか」と思い悩んでしまう。だが、これらもマスメディアが役立たず評論家と一緒にでっちあげた嘘である。過去の記事(「教育の常識は非常識」、「子どもはストレスに強いのだ」)も参考にされたい。
ときどき、ごく稀にだが学校教諭でこれらの中級者以上のカードを、見事に使いこなす教師がいる。場面によっては厳しい先生に見えるので、保護者も含めて周囲
からの風当たりもきついはずだ。だが、これらのカードの使い方に間違いがなければ、子どもは必ず慕ってくれるのだ。いずれ、このブログにて具体的な事例の数々を紹介
していこう。
色々なカードを持っているというのが大事なのだ。「褒めるだけ」とか「スパルタ式」で有名な先生がいるとしても、「それしかない」のなら、所詮は初級止まり。剛柔、使いこなす大人にならねばならない。
ただ、むやみやたらにこうしたカードを使えば良いというのではない。初心者の生兵法は大怪我のもと。
自己研鑽のための修行あるのみなのだ。
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