いじめ社会の完成
先の衆院選で自民党が圧勝。この圧勝については、単に小選挙区制のマジックであったことなどは、さまざまなメディアで論じられている。
圧勝の結果、衆議院では3分の2を与党議員が占めてしまった。マスコミなどのメディアは、憲法改正論議のほうに議論を集中させているが、自分はもう1つの問題について指摘しておきたい。この3分の2にはもう1つの大きな意味がある。
日本国憲法第58条の2
両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の3分の2以上の多数による議決を必要とする。
つまり議員の除名が可能な国会になってしまったわけだ。これによって、私憤から国会で水を巻いたり暴れたりした議員は懲罰を受けることはもとより、義憤から秩序を乱した議員でさえ除名可能となる。除名である。退場とは違うのだ。
先の衆院選挙でも、マスコミを通して大人のいじめが平然と美化されつつ垂れ流されていた。これからしばらくは、法に基づいて国会内で除名という懲罰が可能となった。この法に欠陥があるといいたいのではない。
こういう状況ではイエスマンしか存在できないという有り様を指摘しておきたい。すでに今回の小泉首相と自民党執行部のやり方はイエスマン作りであった。殿様を諫める忠臣は、見事に捨てられてしまう人間関係だ。「殿、それでは庶民のためになりませぬ」と言ったらアウト。刺客を送り込まれる。
法があるんだから何が何でも守りましょう。こういうのは小学生の論理である。ところが、こうした論理が今、社会を動かしている世代の思考停止アタマを支配しているようだ。
幕末の志士たちは、日本の将来のために当時のルールを破ってでも闘わざるをえない状況が何度もあっただろう。
他人がそうせざるをえない状況を考えることが大人の思考である。
さあ、どうするのだ。いじめ社会が完成してしまったぞ。ここまで自民党が圧勝するとは思っていなかったと言っても、もう遅いのだ。
Posted by 奥田健次 経済・政治・国際いじめ・ハラスメント | Permalink
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