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2005.08.30

初めてのムエタイ観戦

仕事でバンコクに行ったとき、空き時間にムエタイ観戦に出かけた。バンコクには2大スタジアムがあって、1つはラチャーダムヌン、もう1つはルンピニー。今回は、ルンピニースタジアムのほうに観戦に行った。

スタジアムと言うからには、かなり大きな会場をイメージしていたのだが、ごく小さな会場だった。格闘技ファンには、小さな会場のほうが、近くで見られるので好都合。それにしても古い建物だ。気温36度なのに、天井に無数にある扇風機が、蒸し暑い空気をかきまわしているだけなのだ。

その日の試合は8試合。なぜか、7試合目がメインイベントと記されていた。選手入場は派手ではないが、両コーナーから入場した選手は、それぞれ音楽に合わせながら神に祈りを捧げて踊る。会場のアナウンサーは、タイ語だけでなく、日本語、英語で説明してくれる。

選手達を少し見て分かるのだが、彼らはかなり若い。例えば、16歳の少年と22歳の青年が、同じ条件で闘うのだ。どの試合も、1ラウンド目は探り合い。 1ラウンド目から本気で闘わないのは、会場の隅っこで賭博をしている人達のためだという。2ラウンド目以降、かなり壮絶な殴り合い、蹴り合い。

そして、メインイベント。一瞬のカウンターパンチでダウンを奪ったのだが、倒れたほうもすぐに立ち上がる。だが、両足が小刻みに震えて、ゆっくりと倒れてしまった。脳震とうで動けず、タンカで退場。壮絶なピヨピヨKOシーン。

この7試合目のメインまで、とにかく「おいおい、そんな激しく殴り合って大丈夫かよ」と思うほど、激しい熱戦が繰り広げられた。セミのエキシビジョンも凄かった。ムエタイの伝統的な美技を、アナウンサーの解説付きで披露し合うのだが、エキシビジョンとはいえ激しかった。

そして、メイン後の8試合目。7試合目の試合前にアナウンサーによる説明を聞いたとき「もしや?」と思った。その説明によると、最後の8試合目はアメリカ人選手とタイ人選手の試合だという。もうこれだけで、会場の半分近くの白人観光客達は大喜び。

これ、はっきりいって「出来試合」ですわ。だって、7試合目までは両選手の通算成績の発表があったのに、8試合目だけ通算成績の説明が無いんです。「こ れは、もしやアメリカ人観光客を喜ばすための試合か」と推測。

3ラウンド目あたりから、このタイ人、ほとんどガードせえへんの(笑)。ボコボコ殴られ始めたの で、「こりゃあ、楽屋の打ち合わせで、4ラウンド目、ラッシュしてKO」というパターンかなと。そしたら、本当に4ラウンド目、コのコ。思わず「おいっ、ガードしろ、ガード!!」と、あしたのジョーの丹下のおっさんばりに叫んでしまったわ。会場、盛り上がりまくりで、打ち合わせどおり壮絶ダウン。そのままKO。会場のアングロサクソンは総立ち。炎上。

格闘技ファンとしては、タイ人が裏切ってアメリカンをボコボコにしてしまわないかなとなにげに期待しましたが、ありえません。お客様には気持ちよく帰っていただく。これ、エンターテイメントの基本ですから。残念。

最初から最後まで、立ち技系の本気の殴り合いを見せられると、お腹一杯という感じになるものだが、ルンピニースタジアムで観たムエタイは、うまい具合にエンターテイメントを仕込んでいる。現地で招待してくれた方と、大満足で帰りました。
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赤のトランクスがのアメリカ人ムエタイ選手。

Posted by 奥田健次 スポーツ |