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2005.08.16

JR福知山線脱線事故の原因

2005年4月25日、JR西日本福知山線(JR宝塚線)塚口から尼崎間で起こった列車脱線事故。事故の直接的な原因については、速度制限を大幅に越えてカーブに突入したために横転脱線したことが報告されている。

自分の実家の最寄駅が宝塚で、普段、家族が使用している路線の事故だったために、余計に身近に感じた事故である。

ここでは、事故の間接的原因とされるJR西日本の日勤教育(Wikipediaから「日勤教育」と検索して参照)について自分の見解を記しておきたい。

自分は、これは間接的原因というより、事故の直接的原因と言って良いと考えている。なぜなら、例えるなら、飛び降り自殺の原因について論じるとき、 物理的原因は「高さ○十メートルから地面に叩きつけられたことによる外傷性ショック死」などを直接的原因云々と説明することに、意義がないからである。

つまり、「どのようにして脱線したか」を問うのではなく、「どのようにして事故が生じたか」を問う必要がある。後者の問いに答える場合、上記の日勤教育を無視することはできない。

一言でいえば、JR西日本が行っていた日勤教育は「職場いじめ」である。「教育」と称しているが、それは職場いじめの、いじめる側が必ず用いる「煙幕」である。いじめを行う人間は、必ず何らかの煙幕を用いており、自分たちにはいじめの感情は無いと言う。

事故を起こしてしまった運転士は、車掌に自分のオーバーランを過小に報告する口裏合わせをしていたという。何としてでも、運転士が日勤教育での懲罰を回避しようとしたゆえの行動であろう。

罰によるコントロールは、人間に対して「回避」や「逃避」の傾向をもたらすばかりか、感情的な側面での悪い副作用をももたらす。運転士は、日勤教育から逃れるために、冷静さを失い、スピードを上げて事故現場のカーブに突入したのであろう。

自分は事故当初、JR西日本の日勤教育の実態を知らなかったので、「何という運転士だ」と思ったものであったが、二度と受けたくない日勤教育を回避しようと追い詰められながら運転していた運転士の心境を想像すると大変気の毒に思う。

同時に、JR西日本の経営姿勢について大きな憤りを感じる。JR西日本が最初に事故の原因として「置き石」を示唆するような発表をしたことは、半ば 意図的な「職場いじめ」隠しと言われても仕方なかろう。運転士が前の駅でオーバーランした後、指令所から乗務員に遅れを取り戻すよう何度も催促する連絡が あったそうだ。つまり、JR西日本側は速度超過を指令していたこと(そのような指令が常態化していたこと)を、できれば隠したかったのだ。

自分が普段から言っていることだが、「いじめ」は人を殺すエネルギーになる。それは、医療界だろうが、教育界だろうが、政界だろうが、どの世界にお いても例外はない。今回のJR福知山線脱線事故が「職場いじめ」によって生じ、多くの犠牲者を生み出したことを、われわれは教訓に出来るのであろうか。

Posted by 奥田健次 いじめ・ハラスメント |